女の子に食事を誘われた話

 

さて……ここらでジャズを聴きながら過去を振り返ろうかな……

 

 

 

あれは成人式が始まる前の話だった、その頃はまだ社会に存在していたので人とのつながりがありLINEの中学の同級生のグループに入れてもらえた。発言権はないけど、なんか「ああ所属していて人間だなあ」とちょっと嬉しみがあった。

 


LINEのグループは結構好き放題というか、そのグループ内の人に友達申請を送り個通メッセージが送れるとかまあまあ童貞の僕にはうっひょーっとなった。

 


そんなある時ツイッターを見ると同級生の女の子が「あまり話したことない子からお食事誘われてどうしようか迷う」というツイートを目にして、ついDMでえー誰?笑みたいな事を送ってしまった(キモい)

簡単にYさんだよーと返信が来る。

その時はみくんに電流走る

これは、僕が同じクラスの時に唯一喋りかけてくれた子だと!その子にお礼を言い、LINEで即友達追加からの「お久しぶりです!覚えてますか!?〜〜〜」

みたいな文を送った、これもキモい。-1,000,000点

 


そしてある日バイトをしていた時LINEに返信が来る。

「あ!はじだよね!覚えてるよ〜!」

LINEの一言で元気になってしまった、多分乾いた心に水が垂れたアレでしょうね。

そこからは世間話するかなと思いきや……

「話したい事あるし、ご飯行って話さない?」

これはね本当春が来ましたよ、2月の中旬なのに……冷たい風でも春風と感じ心地よくなってスキップをしてしまうほど……

もちろんオーケーの返事を出しすぐ会いたいとの事なのですぐ会った。

スーパーの休憩所で待っていて欲しいらしくてここら辺にご飯食べるところあったっけ……?ホテルしか無いような……などとそわそわしていた。

そわそわがそろそろ終わるかなという頃にYさんが肩を叩く。

「久しぶり〜!待った?」

僕は、、、、僕は……この時をあまり思い出せない。

なぜなら嬉しさと彼女の笑顔の暖かさで僕は真っ白に包まれた……,。

こんな大袈裟に惚けている暇もなく、「ま、待ってないよ〜!お久しぶり」と言葉を返す。会話のキャッチボールは運動神経同様だめみたいだ。

「よかった〜、今日寒いからさ早く行ってあったまろ!」

「う、うん!どこ行くの……?」

「今日はちょっとお家に!あとこの子紹介するね3-6だった〇〇ちゃん!」

おい、おいおいおいおい  OIOI マルイ……

おいおいおいおいおいおい………(滑ったのは許して)

一気に流れ込んできた情報を必死に紐解いていく、お家でご飯!?〇〇ちゃん!?誰!?

衝撃を受けながら受けてないように二つ返事でついて行く僕、なんと情けない。

休憩所を出て3人で歩く、しばし考えて黙ってしまう……前の女子2人は話し込んでいるようだ……

「あ、はじは知ってるかな?〇〇ちゃん!1番仲よかったんだ〜」

「え、あのそうなんですか、ぼ、ぼく初めて見ました……」

〇〇ちゃん「……(苦笑い)〇〇だよ〜、ほら鈴Tの!」

「うーん……」

しばらく考えてこんでしまった当時クラスの女子で抜いていた俺がこの子を忘れるかと、どんな微妙な子でもフルネームで覚えてた俺が……

この考え込みが案外長かったみたいで

〇〇ちゃん「覚えてないとか悲しい〜wwww」

「ねーwwww」

馬鹿にされてしまった、えへへと気持ち悪く返す。

そして街頭のなか3人で歩いて行き

「こっちの方が近道なんだ」

とYちゃん、人気の無いところに……

お!?お!?と思ったがこれは現実何もなくただ前の二人について行くだけのNPCになるのみだった。

しばらく歩いているとYちゃんが話しかけてきた

「いやー懐かしいよね、この通学路……いろいろ思い出しちゃうよ、音楽祭のピアノ。中3の時出来てよかったなって……」

「うん、凄かったよね……」

「あのピアノね、実は選考というか違う女の子とどっちを選ぶかーって話でようやく掴めたんだ」

「へー、案外うまいから一発オッケーじゃないんだね」

「そうなんだよーでね、私祈ってたの……御本尊様に、どうかピアノが私が決まりますようにーって……」

 

 

 

い、祈る?御本尊様……?

これは……例のアレで見た……宗教ではないか……?〇〇ちゃんも全く知らない人で実はこれは勧誘なのではないか……!?

 


「そ、そうなんだー……」

俺は戸惑いながらもまさかと思って首を上に向けた、そしたらなんとYちゃんの家ではないか。表札に名前あるもん!おっきいなぁ……

「あ、ついたみたいだね!じゃあ一緒に念仏唱えてみよっか!手取り足とり教えてあげるね!」

なんて流れるような段取り………

全てはこのためだったのか!虚しさとモヤモヤを抱えながら……俯いてしまう。

「近くにさコンビニあるからちょっとでも冷えるし飲み物飲んでいいかい?」

「うんいいよ!」

よし、逃走経路確保!これがはみくんのぉぉぉぉ逃走経路なのだぁぁぁ!!

すぐさまホットミルクティーをナナコで即買いして隠れて出る……

あ、自転車はスーパーの近くだ……

スーパーまでの道のり考えながらミルクティーを飲んでいた、やはりダメな事、自分を過大評価し過ぎた事、反省など沢山のモヤモヤを吐く……

吐く息は白く溜息が見え、溜息は濁っていた。

自転車の所につき自転車に乗る、LINEが来る。

「はじどこいっちゃったの!?笑」

 


…………

iPhone 、今日は激しめの音楽を頼むよ。

さっきまで勘違いしていた春風は嘘のように冷たくなり体を冷やしていく。乾いていく。

 


後日、LINEのグループに「Yさんのお食事は危ない宗教なので注意!」と発言してしまった。そしてグループを抜けた、俺は逃げる事しか出来ないので……

もちろん避難を浴びた、馬鹿にされた。これで社会から外され人間として退化した。

やはり、駄目なものは駄目と落胆しているとLINEが

「はじのおかげで助かったよ!あいつ俺にも飯の誘いあってさ〜!おつかれ!」

なんか救われたような……まあこれで友達はいなくなったよ俺は。